雨が降らない日曜日 [ZZ-R1100]
問題は行先です。台風15号、19号と直撃が続いたため、箱根の長尾峠や仙石原、足柄峠、道志みち、裏ヤビツ、戸田峠など、お気に入りの峠道はことごとく通行止めや通行規制になっています。幸い椿ラインは通行止めになっていないようなので、湯河原から箱根を回って帰って来るルートにしました。走り出すと朝の空気はひんやりと感じられますが、刺すような冷たさはありません。快晴の日射しの中を走ると丁度良い温度に感じられます。空気はすっかり秋の乾いた匂いになっていました。正面に冠雪した富士山、左側に真っ青な相模湾を見ながら国道134号線および西湘バイパスを駆け抜けます。いつもならたくさんのオートバイで賑わっている西湘PAは先の台風で波に洗われ、レストハウスが損壊してしまったために閉鎖されていました。
西湘バイパスを石橋まで行き、さらに海沿いに国道135号線を走ります。135号線は特に大きな台風被害は受けなかったようで、問題なく走れました。湯河原から神奈川県道75号湯河原箱根仙石原線(通称・椿ライン)に入り箱根を目指します。こちらも特に崩落なども見られず通常通りに走れました。ただ、超安全運転の乗用車に行く手を阻まれて自分のペースで走ることはできませんでした。ところが、最高地点の箱根大観山まであと6kmくらいの地点でネズミ捕りを実施中でした。前の乗用車のおかげでサイン会場に招待されることもなく無事に通過することができました。そう言えば、その遥か手前で対向車にヘッドライトでパッシングサインを出されていたことを思い出しました。ネズミ捕りの存在を知らせていてくれたのに、全く気付かずに走っていました。
大観山SAからも富士山が綺麗に見えました。高台から今まで走って来た伊豆半島方面を見下ろすと、キラキラ光る海面に初島が浮かんでいるのがクッキリと見えました。夏の空気から秋の空気にすっかり入れ替わっていることを実感しました。
峠は秋の気配 [ZZ-R1100]
去年10月の台風24号で起こった土砂崩れにより一部通行止めになっていた道志みちは、仮橋が完成し片側交互通行により暫定開通していました。これで大きく迂回することなく通行することができます。
碓氷峠 [ZZ-R1100]
中山道の途中にあるめがね橋は正式名を碓氷第三橋梁と言い、旧信越本線の横川ー軽井沢間に架かる鉄道橋でした。4つのアーチを持つレンガ造りの美しい橋で、明治25年に竣工し、昭和38年まで使われていました。横川ー軽井沢間は66/1000の急勾配のため、アプト式(ラック&ピニオンギアを使って登る)鉄道が走っていました。今は遊歩道として整備され歩いて渡ることができますので、その急勾配を体感することができます。
今回、碓氷バイパスと中山道の両方を楽しむために、南軽井沢から碓氷バイパスを東に向かって横川まで戻り、横川から中山道を西に走り碓氷峠を越えて軽井沢へ行きました。さらに佐久まで行って国道254号線(コスモス街道)を東に下仁田まで折り返し、上信越自動車道で帰って来ました。途中、国道254号線沿いにある西下仁田温泉・荒船の湯で温泉に浸かって小休止しました。荒船の湯は荒船山から降りて来たたくさんの登山客で賑わっていました。
旧信越本線の鉄道遺構「めがね橋」
めがね橋は遊歩道となっている。かなりの急勾配が付いている。
めがね橋から中山道を望む
旧信越本線の廃トンネルの中はひんやり涼しい
初代のポルシェ。ポルシェ356スピードスター。
子供の頃に憧れたBMW 3.0CSi
国道18号線(中山道)。新緑の木漏れ日が眩しい。
帰りは国道254号線沿いの荒船の湯で一休み
ライディング・ブーツ [ZZ-R1100]
新しいライディング・ブーツ SCOYCO MT018WP
悩んだ挙句に購入したのはSCOYCO(スコイコ)というブランドのMT018WPというライディング・ブーツです。SCOYCOは中国のブランドで、香港やマカオに近い広東州の仏山市(Foshan City)にあるライディング・ギアのメーカーです。1998年から海外のブランド向けにOEM生産を開始し、2003年から自社ブランドSCOYCOによる販売を行っています。この会社の設立のエピソードが興味深いので簡単に紹介します。この会社の前身はオートバイ部品のトレーダーでした。ある日この会社の経営者は中国国内で開催されていたモトクロスの国際競技を見学に行きました。そこで彼が目にしたのは、Tシャツとジーンズで競技に参加している中国の選手たちでした。それ以来、彼は中国の選手たちにも海外選手並みにプロフェッショナルなプロテクタや道具を使わせてあげたいと思うようになりました。そして1998年にモトクロス用プロテクタなどを生産する会社を設立し、上述のようにOEM生産から始めて自社ブランドで販売するようになり、今ではロードレースやツーリング用品にまでビジネスを拡大して来ました。主なマーケットはヨーロッパで、徐々に世界中に進出しているということです。デザインから製造までを一貫して自社内で行っているそうです。
以下にMT018WPの感想を述べます。上述の第一から第四までのポイントは一応クリアしており及第点だと思います。フィット感、着脱性は良好で、ヒールが低いので歩きやすく、プロテクションにも充分な配慮がなされているようです。難点を挙げるとすれば、操作性でしょうか。これは試着段階では試すことができなかったため仕方ありませんが、二十年以上愛用してきた以前の物と比べるとかなり見劣りがします。まず、スキー靴か安全靴のような固いシェルが問題です。安全性とトレードオフになるため、ある程度は仕方ないのですが、爪先の触覚が皆無になり、特にシフトアップの時にシフトペダルに触れているか否かが感じ取れません。また、爪先の形状がドーム状に膨れているのでステップとシフトペダルの間に爪先を入れるのに苦労します。次にヒールの形状に難があります。靴底がフラットで歩きやすいのですが、土踏まずの窪みが浅いのでステップに引っかかる感覚が薄くなります。今まで使っていたブーツでは、ステップにヒールを引っ掛けることで足の位置決めができ、ステップを前に蹴り出すことで重心移動を開始することができました。しかし新しいブーツは靴底がステップの上をズルズルと動いてしまいます。
スリムな爪先形状で、はっきりしたヒール形状を持ち、使い込むほど足に馴染む本革製の古いブーツとの別れが惜しいです。しかし、レーシング・ブーツをはじめとする最近のブーツはみなスキー靴のように固いシェルなので、慣れの問題なのでしょう。後戻りはできませんから時間をかけてでも慣れて行かなければなりません。
20数年間愛用したライディング・ブーツともお別れ
8の字ターンの練習 [ZZ-R1100]
オートバイという乗り物は速度を上げるほど安定するので、真っすぐ速く走ることはとても簡単です。しかし極低速で車体を傾けると容易に倒れてしまうので、ゆっくりと小さく曲がることが一番技術を必要とします。左回り、右回りの小ターンに加えて、急加速、急減速の練習が一度にできる8の字ターンは運転技術の基本を学ぶには最適な練習法と言えるでしょう。久しぶりに8の字走行をしてみると、最初のうちは全然イメージ通りには走れませんでした。運転感覚を維持するには定期的な練習が必要だと再認識しました。8の字ターンの仕方は色々あるとは思いますが、絶対に転倒しないことを最優先に考えると次のような方法が一つのやり方でしょう。

8の字の交点付近から撮影
足柄峠 [ZZ-R1100]
足柄峠から富士山までは視界を遮るものが何もないため、富士山が良く見える名所としても知られています。峠の静岡県側に「誓いの丘」という展望ポイントがあり、そこから見る晴れた日の富士山はとてもきれいです。誓いの丘には富士測候所勤務の後に作家となり、富士山を題材にした作品を多く残した新田次郎の文学碑が建てられています。
晴れた日には富士山がきれいに見える誓いの丘
残念ながらこの日の富士山は雲の中
新田次郎の文学碑
足柄関所跡付近にて。バリアスコート施工後4か月経過も艶は健在。
バリアスコート [ZZ-R1100]
マイクロファイバークロスが2枚付属している
映り込みが美しい。25年も乗っているバイクとは思えないくらいピカピカになった。
新そば・温泉・ワインディングロード [ZZ-R1100]
ここを左に折れると山梨県道24号線(都留道志線)
段々と山深い雰囲気になって来る山梨県道24号線
ブレーキフルード交換 [ZZ-R1100]
・ブレーキフルード少々(500mLで充分。ZZ-R1100の場合DOT4を使用。)
・シリンジ(50mL程度の物をできれば2つ)
・透明チューブ(内径Φ4mmのシリコーン製の物などを1メートルくらい)
・廃油受け(ペットボトルや空き缶など)
・めがねレンチまたはスパナ(ZZ-R1100の場合10mmレンチ)
できれば前と同じ銘柄のブレーキフルードが良い。量は500mLで充分。
シリンジとシリコーンチューブ。セットで売っていたがチューブ径が細すぎて使えなかった。
1.シリンジとキャリパのブリードニップル間を50cm程度の透明チューブで接続する
2.もう1本のシリンジに新しいブレーキフルードを満たしておく
2本シリンジがあれば、2本目には新しいフルードを入れて供給用として使う。こぼさなくて済むので作業しやすい。
フルードがこぼれた時のために養生をし、リザーバータンクのキャップを外す(黒いゴムはダイヤフラム)
ダイヤフラムを外すと茶色に変色したフルードが見える
5.ブリードバルブのナットをめがねレンチかスパナを使ってチューブにフルードが出て来るまで緩める
シリンジを使って古いフルードを抜き取る
8.抜き取り用のシリンジが一杯になったら負圧を保ったままブリードバルブを閉める
9.一杯になったシリンジをチューブから外し、フルードを廃油受けに捨てる
10.シリンジを再びチューブに取り付け、上記4.~9.を繰り返す
11.上記作業を2~3回繰り返すと変色した古いフルードが出て来なくなり、チューブ内が透明になる
12.透明な新しいフルードしか出て来なくなったら負圧をかけたままブリードバルブを閉める
13.ゆっくりとブレーキ操作をしてエアが噛んでいないことを確認する
14.フルードを規定量に調整する(リザーバーの窓か内壁の線で確認)
15.リザーバータンクのダイヤフラムとキャップを元に戻す
ブレーキパッド交換 [ZZ-R1100]
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丸印の2本のねじを外すとパッドを交換できるが、タイヤと干渉して普通のドライバが入らない
ラチェットハンドルに6.35mm四角→六角変換アダプタを介してドライバビットを取り付けた
細い棒状の物を使ってβピンを抜く
パッドピンをキャリパーから引き抜く
外したβピンやパッドピンは汚れているのでパーツクリーナーや金属磨きできれいにする
ウォーターポンプ・プライヤなどを使ってピストンを押し戻しておくことを忘れずに
新しいフロントパッド(左)の厚みは5mmなのに対して、古いパッド(右)は1.8mmまで摩耗していた
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丸印のねじが強く固着していて外すことができなかった
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仕方なく2本のキャリパマウントボルトを抜いてブレーキキャリパをブレーキディスクから外した
ネジザウルスは大発明だと思う。困った時の強い味方。
ねじを交換することでL型レンチで楽々脱着可能になった
ヘルメットにマイクを取り付け [ZZ-R1100]
CTIA規格イヤホンマイクのピン・アサイメント
ステレオマイクのピン・アサイメント
走行中の音声を録音してみたところ、風切り音はほとんど録音されず、肉声とエンジン音のバランスも良いバランスでした。ただし、マイクの出力レベルが予想以上に高く、カメラの方で録音レベルを低く設定する必要がありました。録音の音声レベルを低く抑えさえすれば、音が歪むこともなく適切に録音ができました。
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黄色の丸で示した辺りにマイクが仕込まれている。もはやマイクの存在すらわからない。白いプラグがマイク用。黒いプラグがスピーカ用。
オートバイにUSB電源を取り付け [ZZ-R1100]
(1)ON/OFFスイッチがあること
(2)2ポートのUSB電源出力があること
(3)防水仕様であること
としました。アクセサリー電源の系統からではなく、バッテリーから直接配線したかったので、使用しない時に確実にUSB電源が切れるようにON/OFFスイッチ付きの物にしました。また、使用するデジモノはナビとカメラなので、出力は2ポートとしました。これら(1)~(3)の条件を満たす物となるとほとんど選択肢はなく、アマゾンで「SONONIAオートバイ用デュアルUSBポート携帯電話充電器ソケット電源スイッチ付き」という製品を購入しました。注文すると4~5日で中国から簡素な梱包袋に入った製品が直接届きました。
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オートバイにカメラを取り付け [ZZ-R1100]
2か所の関節で上下左右方向に角度合わせができる
防振効果を期待して購入したモーターバイブレーションアブソーバーは逆効果であった。無い方が良い。
早すぎる梅雨明け [ZZ-R1100]
気象庁のデータを調べてみると、記録が残っている1951年以降では6月中に梅雨明けしてしまうのは今年が初めてでした。過去に一番早かった梅雨明けは7月1日(2001年)でしたので、それを2日更新したことになります。反対に一番遅かった梅雨明けは8月4日(1982年)でした。
ちなみに、梅雨入りの方は一番早かったのが5月3日(1963年)で、一番遅かったのが6月22日(1967年と2007年の2回)でした。今年は6月6日でした。入梅が早かった1963年はほぼ3ヶ月間梅雨が続いたようです。それと比べれば1ヶ月足らずで明けてくれた今年の方が嬉しいですね。
梅雨明け記念にという訳ではありませんが、軽くオートバイで走って来ました。涼を求めて標高の高い箱根の大観山を目指しました。下界は蒸し暑かったのですが、1,000メートル登ると気温は10℃ほど低く、心地良い風が吹いていました。早すぎる梅雨明けのためか、いつもなら多くのライダーで賑わう駐車場は閑散としていました。
神奈川県道70号線秦野清川線 [ZZ-R1100]
南側から登ると、しばらくは大山に向かって緩やかな上り坂が続きます。すると突然に道路の真ん中に大きな鳥居が現れます。これは1859年(安政6年)に建てられた「小蓑毛の鳥居」で、ここから先は大山の神域であることを示します。沿道には小さな祠や石仏がいくつも見られ、この道が古くから大山詣のルートの一つであったことを感じさせます。
大山(中央の高い山)に向かって緩やかに登って行く
小蓑毛の鳥居。ここからは大山の神域であることを示している。
沿道には小さな祠が点在する
沿道のポピー畑
晴れた日には富士山が良く見える。中央の屋根は菜の花台展望台。
菜の花台からの市街地と相模湾の眺め
胸部プロテクター [ZZ-R1100]
胸部プロテクタ Komine SK-809 CE Level 2 Multi Chest Protector
背面はX字のパッド(3D衝撃吸収メッシュ付き)でたすき掛けされる
厚み方向に無数の足が生えている3D衝撃吸収メッシュ。通気性と衝撃吸収性を発揮する。
背中には7年間愛用しているイタリアDainese社の脊椎プロテクターを装着する
新緑の中を走る [ZZ-R1100]
今年は例年よりも早く緑が鮮やかになっている
青空と新緑が爽やか
四半世紀前のデザインはもはやレトロ?
宮ケ瀬湖周辺もすっかり緑に覆われていた
いつもオートバイで溢れかえっている宮ケ瀬湖北側の駐車場だがこの日は少なめ
隣に停まっていたのは懐かしいHAWK-II。中型免許の教習車だったなあ。
宮ケ瀬湖から市街地に下りる途中、清川村役場付近でネズミ捕りをやっていました。2~3日前に道志みちを走られたさる1号さんのブログで公務員さんに注意との情報を得ていましたので道志みちでは細心の注意を払っていましたが、道志みちを通り越した後に公務員さんと遭遇しました。下の写真の歩道の向こう側のフェンスの更に向こう側にスピードガンを構えた公務員さんが潜んでいました。数十メートル手前からだとフェンスの格子が隙間なく壁のように見えて、公務員さんの姿は全く見えませんでした。しかし、前方を走るゴミ収集車が急に減速したので幸運にも難を逃れました。ゴミ収集車の運転手さんに感謝感謝です。

フェンスの向こう側の狭い所に公務員さんが潜んでいた(写真:google mapより)
のんびりツーリング [ZZ-R1100]
峠の一本桜。立派な枝ぶりに思わず停車した。道の向こうに富士山の頭が見える。
三国峠パノラマ台からの眺め
「手打ちそば やまさと」は古民家を改装したお蕎麦屋さん
庭を整地しただけの駐車場。スタンドがめり込んでしまうので石を埋めて対処。
ライダーウエアを着ていると椅子席はありがたい
庭先に見える井戸
量は控えめの二八そば。ざるの向きが普通とは逆になっている?
「平野温泉 石割の湯」で露天風呂に浸かってから帰路に就くことにした
宮ケ瀬湖でも桜が咲いていた
フットポンプの修理 [ZZ-R1100]
始業点検時に便利なフットポンプ
プラスチック製のエアチャックが使い物にならない
ワンタッチ式のオープンタイプエアチャック。加工精度も良く、しっかりとした作り。
タケノコプラグの外径はホース内径よりも1mm大きい物を選ぶと良い
ステンレス製ホースクランプ。TRIDONはオートバイのホースにも使われている米国のブランド。
(+)ドライバ、(-)ドライバ、スパナのいずれでも回すことができる仕様になっている
バルブへの食いつきが良く、ワンタッチ式なので狭い所でも簡単に着脱できる
ZZ-R1100のオイル交換 [ZZ-R1100]
オイルには特にこだわりがありませんから、口コミでも評判は悪くないカワサキ純正のR4にしました。この車両が発売された頃のオイルの最高グレードはSG級だったのですが、今やSJ級が普通になっており、最新規格はSN級まであります。隔世の感を覚えずにはいられません。(オイルの規格にはアメリカ石油協会 (American Petroleum Institute)が定めたAPI規格というものがあり、ガソリンエンジン車の場合Sに続くAからZまでのアルファベットで表示されます。新しい規格はそれまでの規格のすべてを上回っていなければなりませんから、Zに近づくほど高性能なオイルということになります。ちなみにディーゼルエンジン車のエンジンオイルはSではなくCで始まります。)
今やSJ級がスタンダード
オイルフィルタとドレインガスケット2個を購入
車体の左側に回りオイルフィラーキャップが開くことをまず確認する
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黄色の矢印で示した3か所を緩めるとエンジンオイルを排出できる(通常は真ん中のメインドレインボルトのみでもOK)
フィルタマウンティングボルトを緩めるとフィルタカバーの周りからオイルが出て来る
外した部品を清掃。左が新しいオイルフィルタ。右が古いオイルフィルタ。
オイルが抜けたらオイルフィルタを下図の通りに組み立てて、オイルパンに取り付けます。フィルタマウンティングボルトの締め付けトルクは20 N-mと規定されていますので、トルクレンチを使用して適切に締め付けます。更に2本のドレインボルトに新しいドレインガスケットを通して、それぞれ指定の29 N-mで締め付けます。ドレインボルトも締め過ぎ、ゆる過ぎを防止するためにトルクレンチを使用して適切なトルクで締め付けましょう。

新しいオイルフィルタをマウンティングボルトに取り付ける。スプリングとフィルタの間にワッシャーを入れることを忘れずに。
新しいオイルを入れる際、オイルの入れ過ぎには注意が必要です。ZZ-R1100の場合、オイル容量は3.5リットルとなっていますが、オイルフィルタを交換した場合でも3.5リットルは入りません。なぜならば、古いエンジンオイルがオイルパン内に必ずいくらかは残ってしまうからです。従って、まずは3リットル弱を入れてみて、エンジンを短時間アイドリングさせた後にエンジンを切り、数分後にオイル点検窓を見て足りないようであれば注ぎ足して調整します。エンジンを切った後には結構な量のオイルが下りて来ますので、少量ずつ注ぎ足して慎重に調整を行いましょう。オイルフィルタを交換しない場合には3リットル程度しか入らないでしょう。
スペースがないのでオイルジョッキかじょうごが必要
オイル点検窓の下限と上限の間に液面が来ればOK。3.5Lは入らないので入れ過ぎに注意。
西伊豆 海鮮丼ツーリング [ZZ-R1100]
初島越しに大島がくっきりと見えた
富士山にはうっすらと雪がかぶる
プリプリの海鮮を食す
山伏峠付近から夕暮れの駿河湾を望む
春の湖巡りツーリング [ZZ-R1100]
タンクキャップのメンテナンス [ZZ-R1100]
古いオートバイの宿命ですが、長い年月の間には色々な金属部品に腐食が生じます。特に燃料タンクの内部は結露を繰り返すうちに段々と錆が出てきてしまいます。タンクの内壁に生じた錆を取るのは大変な作業になってしまいますので見ないふりをして、今回はタンクキャップのメンテナンスをしてみました。
まずは六角レンチで外側の7本のボルトを緩めます。キャップを開けると内側にもねじが一本ありますので、それを外すとタンクキャップAss'y全体を取り外すことができます。
タンクキャップAss'yの下にはゴム製のガスケットがあります。その下のタンク本体は、ボルトの錆で汚れていましたので、ここも掃除しておきます。
上の写真を見てもわかる通り、外したタンクキャップの内側にはビッシリと白いアルミの腐食が見られます。これを落とすのが今回の一番の目的になります。 この白い粉の正体は水酸化アルミニウム Al(OH)3です。本来アルミは表面に透明な酸化被膜(Al2O3)があり、それが保護膜となって非常に腐食しにくい材料なのですが、塩素イオンと水がある環境下では酸化被膜が破れてアルミが溶け出し(Al3+)、それが水酸化物イオン(OH-)と結びついて白い水酸化アルミニウムを析出してしまいます。
アルミの腐食は、このような硬質のスポンジ状の束子や、
このような真鍮ブラシで擦ると簡単に落とすことができます。いずれも¥200~¥300で入手できます。
細部の清掃と注油を行うためにAss'yを分解して行きます。ねじを2本緩めるとカップ状のキャップが外れ、内部が見えてきます。内部にはガスケットを押し付けるための小さなバネが5本ありますので、無くさないように注意します。
このようにバラバラにして掃除と注油をして行きます。
キーシリンダーの周りに注油して動きを滑らかにします。
キャップの内部にも注油してスライダーの動きを滑らかにします。
元通りに組み合わせて作業完了です。キーを回してタンクキャップの開け閉めをするのがとても楽になりました。白いアルミの腐食もきれいに取れました。あとはタンク内壁の錆をどうするかが大きな問題です。
雪に降られる [ZZ-R1100]
快晴の週末、ポカポカ陽気に誘われ半日ツーリングに出かけました。前半は湯河原まで海沿いを、後半は大観山まで山道を走りました。山道を登り始めると頭上には黒い雲が。嫌な予感がしつつも高度を上げると、何と雪が降って来ました。遠くは青空ですが、箱根の山の周辺だけが雪のようです。草木は段々と白くなって来ましたが、路面はウエットのままで積雪には至らなかったのが幸いでした。スリップしないように細心の注意を払いながら山道を駆け下り、帰路に就きました。平地に戻ると何もなかったかのように温かい夕日が背中を押していました。
山を登り始めると空に黒い雲が、、、。
海抜1,000メートル付近では雪あられが降っていた
遠くは青空なのに、、、。
ハブダンパー交換 [ZZ-R1100]
ハブダンパーは埼玉県の「バイクショップはとや本店」さんからネット購入しました。価格は¥4,579で、送料が¥756でした。注文から4日程度で届き、箱を開けてみたところ嬉しいサプライズが! 真新しい軍手とショップからの暖かいメッセージが入っていました。この気配りは素晴らしいですね。次に部品を買うときはまたこちらから購入したいと思うほどツボにはまりました。
さて、交換作業を開始します。センタースタンドで後輪を浮かせてコンクリートブロックでタイヤを固定します。こうするとアクスルシャフトを抜く時にリアホイールの重さがかからないため、シャフトをスムーズに抜くことができます。また、アクスルシャフトが抜けた時にタイヤが急に落下しないで済みます。もちろん、前輪の前にもコンクリートブロックを置いて、不意にセンタースタンドが外れないようにしておきます。
リテイニング・リングはクマちゃんみたいな形で可愛い
ハブのホイール側とスプロケット側を元通りの位置関係で嵌め合わせられるように、
ライディング・グローブ [ZZ-R1100]
真新しいライディング・グローブ
20年近く使って来たオートバイ用の手袋(ライディング・グローブ)を遂に買い替えることにしました。所々に穴が開いて来たことに加え、雨の日に乗った後にそのまま放置してしまったために薄っすらとカビが生えてしまったからです。
古いグローブには穴が
長い間良く頑張ってくれました
大手の二輪用品店に行くと通路1レーンの両側に何百種類もの手袋がびっしりと並んでいました。数が少なければ選ぶのも簡単ですが、これだけ種類があると、どれにしようかと迷ってしまいます。一体どれだけ試着したでしょうか。1時間以上グローブ選びを楽しみました。最近の手袋は色々な工夫が施されていて、見るだけでも楽しめます。昔と比べると、特にプロテクションと換気性に重点が置かれているようです。
最後までどちらにするか悩んだのがRS TAICHIのアームドレザーメッシュグローブ(RST426 ¥12,000)とG-cubicのセミレーシンググローブ(GCG-103 ¥6,800)でした。RS TAICHIのRST426は山羊革・牛革・ナイロン・合成皮革・ネオプレン・カーボン複合材など多種類の素材を適材適所に使用していて、フィット感が素晴らしく良いと感じました。さすがはライディングギア大手の製品です。山羊革は薄くて柔らかく、フィット感を出すには最高の素材だと思いました。しかし、自分の手との相性が良くなかったのか、残念なことに内側の縫製が指先に当たり、痛みを感じてしまいました。これでは何時間も装着していられませんので、これを買うことはあきらめました。縫い目の位置を少し変えたら良くなると思うのですが、本当に残念です。
次に装着感が良かったのがG-cubicのGCG-103でした。こちらは牛革なので見た目はゴワゴワしているのですが、装着してみると革が柔らかくしっとりとしていて、フィット感がとても良い感じでした。しかもお値段が手ごろです。G-cubicは香川県にある株式会社大熊というオートバイ用革製品を専門に扱う会社のブランドだそうなので、さすがは革屋さんだなあと思いました。この製品のすごいところは、この価格ながら、プロテクションと換気性に手抜きがないことです。拳を守るプロテクター、第一関節や第二関節を守るパッド、小指球(てのひらの小指側の膨らみ)や豆状骨(手首の小指側に飛び出た骨)を守るパッドなどが装備されていて、どんな角度で手を衝いても守ってくれそうです。換気性に関しては、革にパンチング穴を施したり、プロテクターに開けた穴を通して指から手の甲へと積極的に空気を流す構造になっていました。さて、今度の手袋は何年使えるでしょうか。プロテクターのお世話にならないように長く使って行きたいと思います。
G-cubicのセミレーシンググローブGCG-103 ¥6,800 プロテクションと換気性はばっちり
革は驚くほど柔らかく、フィット感も抜群
湯河原温泉 [ZZ-R1100]
先日ZZ-R1100の車検を無事に終えたので、雨の合間にちょこっと半日ツーリングに行って来ました。目的地は湯河原温泉です。湯河原温泉は相模湾に注ぐ千歳川の谷あいに湧く万葉集にも詠まれた古い温泉で、関東では最も古い温泉とも言われています。外傷に効くことから「傷の湯」とも呼ばれているということです。今回はニューウェルシティ湯河原というホテルに併設された日帰り温泉施設「いずみの湯」で温泉に浸かって行くことにしました。営業開始の11:00に到着し、駐車場から温泉のある谷に向かって階段を下りて行きます。施設は新しく、掃除も行き届いていて、清潔感にあふれていました。ホテルのロビーで入浴料(税込み¥1,080)を払い、温泉に向かいます。営業開始直後だったので、ほとんど貸し切り状態でした。露天風呂には何十人も入れそうな大きな湯船と、御影石で作られた3~4人用の石風呂があり、源泉かけ流しになっています。温度は40℃ほどで、長く浸かるにはちょうど良い温度でした。他に誰もいなかったので、石風呂を独り占めにして、しばらく柔らかいお湯の感触に包まれながら温まりました。ホテルに併設の施設ですから、野趣満点という性格の温泉ではないことは承知ですが、強いて挙げれば、露天風呂が完全な露天ではなく、透明な波板と葦簀(よしず)の屋根がかかっており、開放感に欠けるところが少し残念でした。狭い谷あいに建物が密集しており、隣はマンションだったりするので仕方がないのでしょう。
湯河原温泉は千歳川の谷あいにある昭和の匂いがする温泉街だ
駐車場から谷に向かって下りて行くと温泉施設がある
ゆっくりと温泉に浸かった後はワインディングを楽しみます。湯河原温泉の横を通る神奈川県道75号線は別名「椿ライン」 とも呼ばれています。奥湯河原からワインディングが始まり、箱根までつながっています。途中、大観山で「MAZDAターンパイク箱根」と交差します。ターンパイクはカーブの曲率が緩く道幅も広いので、高速でコーナリングするには気持ちが良い道路ですが、それゆえについつい速度を出し過ぎてしまう難点があります。一方、椿ラインは道幅は狭いですが、カーブの曲率半径が適度に小さく、オートバイで走るにはちょうど良いワインディングロードになっています。コーナーを1つ2つ抜けると、自然と気分も高まります。ところがこの日は雨上がりで濡れ落ち葉が路面を覆っており、さらに対向車線に走り屋さんの四輪車が多く、ブラインドコーナーから突然センターラインをはみ出して来ることがありました。そんな状況でしたから、はやる気持ちを抑えていつでも止まれるように細心の注意を払って走らざるを得ませんでした。
千歳川に沿って登って行く
ここから先はちょうど良いワインディングが始まる
朝から小雨がぱらつく曇りがちな天気でしたが、大観山まで登って来ると、そこだけは真っ青な空が広がっていました。大観山の駐車場は、長雨の合間を待ち望んでいた多くのライダーたちで賑わっていました。そこからターンパイクで山を下りるか箱根新道で下りるか迷いましたが、費用節約のため無料となった箱根新道で山を下りることにしました。その後は雨にも降られず、日が高いうちに帰宅でき、洗車をしてショートツーリングを終えました。
大観山はこの日も多くのライダーで賑わっていた。平均年齢は高め。
駿河湾から上がって来る湿った空気で芦ノ湖上空には雲ができやすい
二輪車の車検 無事終了 [ZZ-R1100]
7月に車検を受けなければならなかったZZ-R1100ですが、運輸支局に行こうとしたまさにその時、電源がシャットダウンしてしまって車検を受けられなかった件は先日の記事に書きました。故障の原因究明と修理に2ヶ月もかかってしまい、その間に車検が切れてしまいました。車検の切れた車両を運転すると一発で免許停止になってしまいますから、修理が終わっても車検のために運輸支局まで車両を運転して行く訳にはいきません。そんな時のために仮ナンバーの交付(自動車臨時運転許可)という制度があります。各市町村の役所や出張所(市町村によって交付場所は異なる)に申請すると、赤い斜線が入ったナンバープレートを貸してもらえて、指定の日にち(普通は1~2日間)に指定の経路を運転することができるようになります。今回はこの仮ナンバーを付けて車検を受けに行くことにしました。申請には車検証、印鑑、運行日をカバーする自賠責保険、本人確認書類(運転免許証)、手数料750円が必要です。
役所に行き、申請手続きをすると数分で自動車臨時運転許可証と仮ナンバーを受け取ることができました。 ところが、仮ナンバーを見てびっくり。二輪車用の大きさではなく、一回り大きな普通車用のサイズでした。帰ってとりあえず付けてみようとしましたが、当然ながらねじ穴のピッチが合いません。仕方がないので紐でぶら下げようとしましたが、これもバタバタして塩梅が良くありません。まあ、正規の位置に付けていなくても携帯していればお咎めを受けることはないでしょう。タンデムシートの上に荷物用のゴムひもで括り付けて車検を受けに行くことにしました。
仮ナンバーが大きすぎてねじ留めできない。二輪車用サイズはないのだろうか。
車検はいつものようにユーザー車検を受検しました。受検の方法は過去の記事の通りです。以前は二輪車の車検で排気ガス検査はなかったのですが、何年か前からプローブを排気管に突き刺して検査するようになっていました。前回は何事もなく合格していた排気ガス検査ですが、今回はCO濃度が不合格になってしまいました。他はすべてパスしたので、恐る恐る審査官の最終審査を受けに行きました。すると、車検証の型式がBC-で始まる平成11年以降の二輪車以外は排気ガス検査の規制外なので、排気ガス検査自体を受けなくても良いと言われました。ほっとしたと同時に、今まで受けてパスしてきたのは何だったのだろうと思いました。排気ガス規制について調べてみると、平成11年規制、平成12年規制、平成18年規制と、地球温暖化が叫ばれてから年を追うごとに厳しくなって来ており、特に18年規制ではCO排出量がそれまでの20g/kmから2.7g/kmに87%削減、アイドリング時のCO濃度はそれまでの4.5%から3.0%に33%削減されているのだそうです。このため、平成18年以降、2サイクルエンジン、キャブレター車、触媒なしマフラーのオートバイは絶滅し、4サイクルエンジン、インジェクション車、触媒付きマフラー車しか生き残れなくなってしまいました。何はともあれ、平成6年製の古い逆輸入車には規制がかからないとのことなので、無事に車検に合格し、やっと大手を振って乗れるようになりました。
厳しい排気ガス規制を免れ、無事に車検に合格
バイク修理 [ZZ-R1100]
2か月ほど前のある日、ZZ-R1100のユーザー車検を受けに行くためにエンジンを始動しようとした時のことでした。スタータボタンを押した瞬間にすべての電源が落ちて何も反応がなくなりました。前日までに一通りの整備、点検は終わらせていて、当日も方向指示器、ヘッドライト、ブレーキランプ、ホーンなどの最終チェックをしてバッテリーも弱っている気配はありませんでしたから、きっとヒューズが飛んだのだろうと思いました。とりあえず車検の予約を午前から午後の遅い時間帯に変更して、原因を探ることにしました。ZZ-R1100のヒューズは2か所にあり、シートを外すと見えるジャンクションボックスの中にテールライト、ヘッドライト、冷却ファンの3つのヒューズ(10A)が、バッテリーの横にメインヒューズ(30A)があります。10Aのヒューズは電源全体には影響しませんが一応チェックすると、全部正常でした。メインヒューズはガソリンタンクを下ろさないと確認できません。燃料パイプと燃料センサのカプラを外して前後4本のボルトを外すとガソリンタンクを下ろせます。バッテリー左側の正極側のケーブル付近に緑のケースに入ったメインヒューズがあります。赤いキャップを外すとヒューズが見えてきます。テスターで抵抗を測りましたが導通があり、切れていませんでした。原因がヒューズでないとすると厄介です。これは長丁場になると感じましたので、午後の車検もキャンセルし、じっくりと原因を探ることにしました。
何をするにも燃料タンクを下ろさなければならないZZ-R1100
メインヒューズはバッテリーの左側にある緑と赤のケースに入っている
メインヒューズ(30A)は切れていなかった
バッテリーの端子電圧を確認すると12V以上ありました。しかし、メインスイッチをオンにするとほぼ0Vになってしまいます。どこかの部品が故障してショートしているのだろうと推測し、オーナーズマニュアルとサービスマニュアルを首っ引きで原因究明を開始しました。まずは回路図を見ながら怪しい個所を洗い出します。常時バッテリーにつながっている12Vライン、メインスイッチをオンにすると12Vにつながるライン、GNDラインをそれぞれ色分けすると全体像が見えてきましたので、メインスイッチをオンにすると12Vにつながるラインにぶら下がっている部品を一つ一つチェックして行くことにしました。チェックの方法は、一つずつ部品を外して、その状態でメインスイッチを入れて行き、相変わらずバッテリーの端子電圧が0Vに落ちるのならその部品が原因ではないと判断することにしました。
わかりにくい回路図を色分けして故障原因の目星を付ける
チェックした部品は次の通りです。
・スターター回路リレー
シート下のジャンクションボックスの中にあるので、ボックス全体を外してチェック
・ICイグナイター
シート下にあるので外してチェック。
また、サービスマニュアルには9つの端子から2つを選んだ時の端子間の
正常抵抗値が記載されているので、その72種類の組み合わせを全部測定して
ICイグナイター自体に故障がないことを確認した
・オルタネータ
バッテリーの前方にあるゴムの防水カバーで覆われたカプラを外して切り離す
・燃料ポンプ
オルタネータのカプラの近くにあるもう一つのカプラを外して切り離す
・燃料ポンプリレー
バッテリーの左側にあるカプラを外して切り離す
・スターターリレー
バッテリーの左側にあるカプラを外して切り離す
・方向指示器リレー
左のリアカウルを外してカプラを切り離す
・左右ハンドルバースイッチ
スイッチボックスを分解して異常がないことを確認
中央付近のゴムの防水カバーに覆われた四角いカプラはオルタネータにつながっている
週末に時間を見つけながら一つ一つ確認して行ったので、ここまでチェックするのに1.5か月もかかってしまいました。しかし、上記の部品は全部シロでした。あとはフロントパネル周りのランプやメーター類くらいしか残っていませんが、それらが壊れても電源ラインが短絡するとは考えにくいので、事実上もうお手上げ状態でした。そんな時、ふとメインスイッチをオンにするとどのくらいの電流が流れるのだろうかと思い、バッテリーを外して、メインハーネスのバッテリー端子間の抵抗値を測定しました。すると、メインスイッチがオフの時には無限大の抵抗値を示しますが、オンにすると4~7Ωになることがわかりました。ということは、このハーネスに12Vのバッテリーをつなぐと 1.7~3Aくらいの電流が流れ、20.4~36Wの消費電力になるはずです。スイッチオンで電力消費する部品は油圧警告ランプ(1.7W)、ニュートラルランプ(1.7W)、燃料センサ、水温計、ICイグナイター(ECU)くらいですから、やっぱり消費電力が大きすぎる気がします。しかし、3Aくらいでバッテリーの端子電圧が0Vに下がるのもおかしいような気もします。セルフスターターを回すにはもっと大きな電流を流さなければならないからです。そこで念のためにバッテリーを疑ってみることにしました。バッテリーの両極を8.2Ωのセメント抵抗でつないで端子電圧を測定したところ、0Vに下がってしまい抵抗も熱くなりません。つまり、電流が流れていないのです。結局のところ、バッテリーが原因でした。早速、新しいバッテリーを注文して載せてみると、スイッチオンで油圧警告ランプもニュートラルランプも煌々と点灯し、スターターモーターも元気よく回り、エンジンが息を吹き返しました。あれだけ苦労して、長い時間をかけて調べたのに、故障の原因は一番大元のバッテリーだったなんて。この2か月間、何をして来たのかと脱力感に襲われます。10年くらい使ったバッテリーではありますが、壊れるまでは弱った様子を全く見せていなかったのと、無負荷での端子電圧が12V以上あったので、最初からバッテリーを原因から除外していたのが敗因でした。思い込みは大敵ですね。新しいバッテリーをつないだ時の平常時の電流を実測したところ2.63A(31.56W)でした。メインスイッチをオンにしただけでこんなに電力を消費するとは思ってもいませんでした。ICイグナイター(DENSO製)の消費電力が20~30Wもあるということなのでしょう。その負荷が重すぎるため、壊れたバッテリーの端子電圧がメインスイッチを入れただけで0Vまで落ちてしまっていたのです。この現象を回路のショートだと誤認したことがすべての徒労の始まりでした。
平常時に流れる電流は2.63Aにもなる 写真左の黄色いラベルの箱がICイグナイター
すっかり車検も切れてしまいましたので、近いうちに仮ナンバーを取って車両を車検場に持ち込まなければなりません。ちょっとした思い込みから余計な仕事が増えてしまいました。
本件からの教訓
・バッテリーは突然故障することもある
・バッテリーは故障しても無負荷時の端子間電圧が12V以上を示すことがある
・平常時でも30W程度の消費電力がある
・思い込みは禁物 先入観を捨て、大元からチェックすべし
ドライブチェーンの清掃 [ZZ-R1100]
洗車のついでにチェーンルブを注しておこうとしたところ、ドライブチェーンは古い潤滑油と泥が混じったグリース状の物体でギトギト、ドロドロになっていました。そこで、チェーンの掃除から始めることにしました。チェーンの汚れを取り除くためのケミカル製品として、チェーンクリーナーなどと呼ばれるスプレー缶が色々なメーカーから市販されています。しかし、どれも結構良いお値段なので、今回は代替品を考えてみることにしました。チェーンクリーナーに似た製品で、パーツクリーナーというスプレーもあり、こちらはチェーンクリーナーの3分の1ほどのお値段で買えますが、これはチェーンには使わない方が良いそうです。パーツクリーナーは有機溶剤を主成分とするスプレーで、油汚れは良く落とすのですが、チェーンを傷めてしまうことがあるそうです。オートバイのドライブチェーンにはシールチェーンというタイプが使われています。シールチェーンはピンとローラーの間にグリースを入れて、ゴムのシールで封止しているのですが、そこにパーツクリーナーの溶剤をかけてしまうとグリースが流れ出てしまったり、シールを傷めてしまうことがあるのだそうです。では何を使おうかと考えていたら、良い物を思いつきました。油汚れにはマジックリンでしょう!と言うことで台所用洗剤のマジックリンを使用することにしました。100円ショップで買った同じく台所用の硬質スポンジにマジックリンを付けてゴシゴシ擦ったら思いのほかきれいになりました。洗剤を水で良く流して乾燥させたらチェーンルブを満遍なくスプレーして完了。後輪が幾分軽やかに回るようになった気がします。ところで、チェーンを洗うときや、ルブを塗るときには絶対にエンジンを回わさないで下さい。万が一、指でも巻き込まれたら大事故になりますので。面倒でも後輪を手で回してチェーン送りしましょう。
きれいになったドライブチェーン。十何年ぶりに地金とご対面?!
チェーンを洗う前にまずはチェーンカバーを外し、きれいに掃除する。
次に露出したチェーンをこれを使って洗う。油汚れにはやっぱりマジックリンでしょう!
擦るには100円ショップのこんなものがとても便利。
2枚で100円と、とても経済的。
きれいになったら、良く乾燥させた後にチェーンルブをスプレーする。