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ブレーキフルード交換 [ZZ-R1100]

 ツーリングのベストシーズンがやって来ましたので、本格的に走り出す前にリアブレーキのフルードを交換しておくことにしました。フルード交換はいつもエア抜きの必要がないシリンジを使った方法で行っています。ブレーキキャリパーのブリーダーにチューブを接続し、チューブの他端をシリンジで吸い上げてフルードを抜く方法です。

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まずはシートの下にあるリザーバータンクの周りをウエスで養生します。ブレーキフルードは塗装面を腐食させる性質があるため、万が一溢れても周りの部品に付着して塗装を傷めることがないようにしておきます。養生が済んだらセンタースタンドなどで車体を垂直にしてキャップを開けます。

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劣化のためか若干色が濃くなっていました。次にブレーキキャリパーのブリーダーに内径4mmのシリコーンチューブを接続します。そしてチューブの他端にはシリンジを接続し、プランジャを少し引いてチューブ内を負圧にしておきます。これはブリーダースクリューを緩めた時にブリーダーからキャリパー内に空気が流入しないようにするためです。

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2つあるうちの1つのブリーダーはここ

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ブリーダーに内径4mmのチューブを接続し10mmのレンチをかけておく

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チューブの他端にはシリンジを接続し、若干プランジャを引いてチューブ内を減圧しておく

準備ができたらゆっくりとブリーダースクリューを緩めてフルードが出て来るのを確認します。フルードが出始めたらシリンジからプランジャを引いてブレーキ内部のフルードを吸い出します。この時、リザーバータンクが空になると空気が入り込んで、後でエア抜きが必要になってしまいますので、空にならないように新しいフルードをリザーバータンクから注ぎ足して行きます。シリンジが一杯になったら一旦ブリーダースクリューを閉めて、シリンジをチューブから外してフルードを捨てます。空になったシリンジを再びチューブに接続し、プランジャを引いてチューブ内を減圧したらブリーダースクリューを緩めてシリンジによるフルードの抜き取りを続けます。この作業を2~3回繰り返してブレーキ内が充分に新しいフルードと交換できたらブリーダースクリューを締めておきます。


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ブリーダースクリューを緩めたらプランジャを引いてフルードを抜き取る

ただしZZ-R1100のブレーキは対向ピストンなので、ブレーキディスクの反対側にもう一つブリーダーがあります。こちら側にも古いフルードが残っていますので、同じ要領で反対側のブリーダーからもフルードを抜いておきます。キャリパーの両側から古いフルードが抜けたら確実にブリーダースクリューが締まっていることを確認します。そしてリザーバータンクのフルード量を適正範囲に調整します。更にブレーキ周辺をパーツクリーナーで洗浄してフルードが残っていないようにしたら作業完了です。ブレーキ操作をしてタッチがスポンジーでないことを確認して、最後にブリーダーにゴムキャップをして水や塵が入り込まないようにしておきましょう。

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対向ピストンブレーキの場合ディスクの反対側にもう一つブリーダーがある場合がある。こちらも忘れずに。

 エア抜き作業を不要にするためにわざわざシリンジを使ってフルードを抜いたのですが、実は今回シリンジのプランジャを大きく引いた際に、勢い余ってリザーバータンクを空にさせてしまいました。ブレーキラインにエアを噛んでしまった場合は、何回もブレーキ操作をしてブリーダーからフルードを排出させて、泡が出なくなったらブレーキをかけたままブリーダースクリューを締める、というエア抜き作業をしなければなりません。これがフロントの左側キャリパーの場合だとブレーキ操作とブリーダースクリューの開け閉めを一人ではできないため、誰か他の人にブレーキを操作してもらうか、ブレーキをかけた状態でバンドなどを使ってブレーキレバーを固定しなければならず、とても面倒なのです。しかし幸いリアブレーキだったので、ブレーキペダルとブリーダースクリューが近い距離にあり、右手でブレーキ操作、左手でブリーダースクリューの開け閉めを行うことができ、事なきを得ました。

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ブリーダースクリューの拡大写真

 ところでブリーダースクリューの構造は上の写真のようになっています。左の先端がテーパー状になっており、その近くに横穴が開いています。この横穴はスクリュー軸の中心にあるフルードの排出穴につながっています。一方でブレーキキャリパーのネジ穴の一番奥はすり鉢状になっています。ブリーダースクリューを一杯に締め込むとこのテーパーとすり鉢がぴったりと摺り合わされてブリーダーを閉じることができます。スクリューを緩めるとテーパーとすり鉢の間に隙間ができてフルードが漏れ出し、横穴を通って排出穴からフルードが排出されます。このような構造ですから、あまり強くブリーダースクリューを締め過ぎるとキャリパーのすり鉢状の所を変形させてしまいます。そうなったら大変です。フルードの漏れが止まらなくなり、キャリパーをオーバーホールしなければなりません。なのでブリーダースクリューの締め付けはほどほどにしておく必要があります。

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