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COLBAR [Singapore]

  COLBARはシンガポールのWhitchurch Roadにある、とてもカジュアルなカフェ・レストランです。小さな小屋とオープンスペースから成る質素な佇まいは、古き熱帯の様式を良く残しています。天井でシーリング・ファンが回っていますが、店内にエアコンはありません。しかし南国の暖かい風はとても心地良く感じられます。週末には地元の人のみならず、欧米の人たちもどこからともなく集まって来ます。私の好きなメニューはChicken Curryです。ココナツ風味が効いたシンガポールスタイルは、南国の風に良くマッチします。
  このCOLBARには素敵なエピソードがあります。英国の植民地統治時代、この辺りに広大な英国軍基地がありました。COLBARはその食堂として1953年にLimさんという方が今の場所から数百メートル離れたJalan Hang Jebatという通りに開業しました。店名は彼の友達の英国人が付けた名前で、Colonial Barに由来しているそうです。かつてはレバー料理や羊料理がここの名物で、英国の軍人や兵士たちの間でとても人気があったと言うことです。ところが開業から50年経った2003年に、この近くを通る高速道路Ayer Rajah Expresway(AYE)に新しくPortsdownインターチェンジが建設されることになりました。その影響で、建設用地内にあるCOLBARは取り壊されることになったのです。しかし歴史的価値があるこの店を残そうと人々が立ち上がり、デベロッパや政府を巻き込んで存続の方策を模索することになりました。その結果、今の場所に移転させる案に落ち着きました。築50年の古い建物は丁寧に解体され、壁材やスイングドアや瓦の一枚に至るまで再利用され、移築が行われました。こうして2004年に今の場所で昔のままの姿で営業を再開することができたのです。
  現在シンガポールでは、あちこちで再開発が進められており、貴重なペラナカン建築やコロニアル様式の建物が年々少なくなってきています。しかし一度失われた古いものは二度と取り戻せません。COLBARの例のように、一つでも多くの歴史的財産が残されるよう願わずにはいられません。

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