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虹と内暈 [nature]

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rainbow3.JPG内暈

空に現れる光学現象は、虹を筆頭に、内暈(ないうん/うちかさ)、彩雲、環天頂アーク(逆さ虹)、タンジェントアーク、幻日、光環、ブロッケン現象など実に様々なものがあります。比較的よく目にするのは虹と内暈ではないかと思いますが、なぜあのような現象が起こるのか不思議ですよね。今日はその仕組みについて考えてみましょう。

虹はご存じのとおり、空気中の小さな水滴の中を太陽光が反射、屈折することで起こります。雨上がりや天気雨の時に見られるのはそのためです。水滴の中を光が通るとき、光の色(波長)ごとに屈折率が異なる「波長分散」という効果を受けるため、水滴から出射する光は色ごとに違う角度で出てきます。プリズムが光を7色(実際には無限色)に分けるのと同じ原理ですね。カメラのレンズではこの性質が色ズレの原因になるため、特定の波長域で波長分散が小さくなる特殊な材料(EDガラス、低分散ガラスなどと呼ばれるもの)を使うことがあります。

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我々が普通に見る虹は上の図に示した主虹と呼ばれる虹です。水滴の中を光が1回反射して出てくるときに波長分散によって光が波長ごとに特定の角度を持って出て来ることにより発生します。太陽を背にして立った時、太陽と観察者を結ぶ直線(ここでは主軸と呼ぶことにしましょう)の延長上から約40度だけ視線をずらした所にある水滴からの光がちょうど観察者の目に入射します。40度の位置の光は紫、42度の位置の光は赤の波長を持っています。その間は順に藍・青・緑・黄・橙などで満たされます。40度から42度の範囲外は可視光ではないので観察者には見えません。こうして主軸をぐるっと囲むように40度から42度の限られた幅で円形の輪が見えるという訳です。

ここで色々なことに気づきます。例えば、太陽の高度が高いと主軸の延長(対日点)は地面の中に入ってしまいますから虹は見えません。太陽が低い位置にある朝夕にしか空に虹を見ないのはこのためです。また、紫は40度の位置ですから、必ず主虹のアーチの内側に見えます。42度の赤は外側です。場所や時間によらず、いつも同じ大きさのアーチが見えるのも42度の法則から説明ができます。

ところで、主虹の外側にもう一つ虹が見えることがあります。副虹と言うのがそれで、水滴の中を2回反射した光を見ていることになります。1回反射の主虹に比べると、副虹の場合は水滴内で光量の反射損失を2回受けるので非常に暗く(薄く)見えます。主軸から51度だけ視線を逸らしたところに現れますが、薄いので見逃してしまうことが多いと思います。副虹の場合は入射光と出射光の位置関係が主虹とは対称になりますので、主虹とは反対にアーチの内側が赤、外側が紫になります。

虹の下側は地面に遮られてしまうため、完全な輪になって見えることはありません。しかし、内暈は太陽の周りに小ぶりな輪を描きます。太陽から視線を22度ずらしたところに見えるからです。なぜ42度ではなく22度かと言うと、虹が水滴による反射屈折によって生じるのに対して、内暈は大気中の微小な氷柱の屈折によって起こるからです。22度という角度は、氷柱が六角柱状に凍ることに由来しています。

自然界にはたくさんの不思議な現象がありますが、時にはその原理を考えてみるのも楽しいですね。


タグ: 内暈
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コメント 3

slowhanded

お、虹がいっぱい!^^

slowも一眼を始めた頃から「いつかは虹を撮りたい!」と
思っているものの、見かけたときにはいつも一眼を持って
いなかったりします。ミ(ノ_ _)ノ=3 ドテッ!!
by slowhanded (2010-09-05 20:54) 

COLE

最近虹をみていないなあ
東京はからから天気
昨年のゲリラ豪雨はどこに行ってしまったんだろうか
by COLE (2010-09-05 21:18) 

ZZA700

slowさん
なかなか良いタイミングで虹とは遭遇できないですよね。
これらの写真も、慌ててカメラを取りに帰って撮ったものばかりです。
カメラは肌身離さず持ち歩かないといけませんね。(笑)

COLEさん
内暈はつい最近の写真ですが、虹の写真は去年の物とそれ以前の物です。
昔から内暈が見えると雨が降ると言いますが、この日は雨は降らなかったような…。
さて、今年は虹を見られるでしょうか。
by ZZA700 (2010-09-05 22:10)