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鋸山 [Planar T* 50mm F1.4 SSM]

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 千葉県の富津市と鋸南町にまたがる標高329.5メートルの鋸山(のこぎりやま・正式名称は「乾坤山(けんこんざん)」)にワンコたちと登って来ました。鋸山は凝灰岩から成る岩山で、江戸時代から昭和60年(1985年)までの長きにわたり石材の産地として活用されてきました。遠くから見るとギザギザとした山頂がのこぎりの刃のように見えることから鋸山と呼ばれています。

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 アクアライン(東京湾横断道路)を使えば全行程クルマで行けるのですが、帰りの渋滞を危惧して東京湾フェリーを使って千葉県に入ることにしました。神奈川県の久里浜港まで行き、港にクルマを停めて人と犬だけフェリーに乗ります。フェリーは約40分で東京湾を横断し、千葉県・金谷港に着きました。ワンコたちは慣れない音や揺れのため終始緊張気味でした。

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フェリーでは落ち着かない様子のワンコたち

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約40分で金谷港に入港

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登山道は鬱蒼とした森と急勾配が続く

 金谷港からは徒歩で登山道へ向かいます。JR内房線の浜金谷駅前を通り、港から30分くらいで登山口に着きました。登山道に入るとすぐに鬱蒼とした森と急な山道が始まりました。鋸山は標高こそ低いものの、切り立った岩山であるため、山頂まで厳しい勾配が続きます。鋸山にはいくつかの登山コースがありますが、石切り場の面影を色濃く残す「車力道コース」を登ることにしました。車力道は山の頂上付近で切り出した石材を麓まで運び出すために作られた道です。一つ80kgに切り揃えられた石材3つを荷車に載せて運んでいたそうです。石畳で舗装された路面には荷車が通って出来た轍(わだち)が残されていました。石を運び出すのは女性の仕事だったそうですが、こんな急斜面で240kgもの荷車を暴走させずに下ろしていたとは信じがたい話です。さぞ危険な仕事だったことでしょう。

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 港から2時間ほどで山頂付近の石切り場に着きました。北西に開けた展望台から東京湾の方を見ると遥か下方にフェリーターミナルが見えます。帰りはあそこまで歩いて行かなければならないと思うと気が重くなります。石切り場にはノミ跡が残る100メートル級の垂直の壁がいくつも見られました。

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100メートルはあろうかと思われる石切り場の断崖絶壁にワンコたちもびっくり

 鋸山は山全体が752年に開山された日本寺(にほんじ)という古いお寺の境内となっています。西口管理所で拝観料を払うと百尺観音と対面できました。百尺観音は太平洋戦争の戦没者や交通犠牲者の供養のために6年の歳月をかけて石切り場跡に彫られた磨崖仏で、高さは30メートルにも及びます。写真撮影している人と比べるとその大きさが良くわかります。更に奥へ登って行くと、鋸山のハイライトとも言える「地獄のぞき」に到着しました。山のてっぺんから断崖絶壁にせり出した岩に乗って約100メートル下の谷底をのぞけます。

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石切り場跡に彫られた身長30メートルの百尺観音

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100メートルの断崖絶壁にせり出した岩から谷底を見られる地獄のぞき


 地獄をのぞいた後は下山しながら日本寺大仏を目指すことにしました。途中、東海千五百羅漢と呼ばれる1553体の石像群がありました。これは江戸時代に27人の手により21年間かけて彫られたものだそうです。山頂から半分くらい下りたところに日本寺大仏がありました。高さは31.05メートルで奈良や鎌倉の大仏の2倍以上の大きさを誇る日本一大きな磨崖仏だということです。万世太平を祈願して1783年に大野甚五郎英令ら27名により3年の歳月をかけて彫られたものだそうです。

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東海千五百羅漢の石像群

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日本一大きな磨崖仏とされる日本寺大仏

 鋸山を十二分に楽しんだので、下山して金谷港に戻ることにしました。日本寺の東口管理所で金谷港までの道順を訊くと、受付の人は困ったような驚いたような複雑な表情を浮かべました。その人の話では、金谷港に戻るには、もう一度山頂付近まで登って、往路に登って来た道を下りるしかないと言うのです。ところが地図を見ると朝通って来たJR浜金谷駅付近と隣のJR保田駅付近を結ぶ国道127号線があり、その保田駅側に下りられるので、国道を海沿いに一駅分歩けば金谷港に戻れそうです。そのように受付の人に告げると、国道127号線にはいくつものトンネルがあり、トンネル内には歩道がないので歩いてJR浜金谷駅には行けないと言われてしまいました。しかし、すでに膝はガクガクで再び山頂まで登る体力も気力もありません。歩道があろうがなかろうが、我々には国道127号線を歩いて戻るしか選択肢はありませんでした。受付の人には丁重にお礼を言って自己責任で国道を歩くことにしました。意を決して国道を歩いて行くと、受付の人に言われた通り、トンネル内は片側1車線のすれ違いがやっとの道幅になっていて、歩道はありませんでした。しかも交通量は多く、クルマが絶えず横を通って行きました。路側帯を一列になって犬を車道に出さないようにリーシュを短く持って歩き、いくつものトンネルを無事に通過することができました。最後の最後に大きなハプニングがありましたが、ワンコたちも良く歩いてくれて思い出に残る旅となりました。

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田貫湖 [35mmF1.4G]

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 静岡県富士宮市の朝霧高原にある田貫湖に行って来ました。田貫湖は元々湿原にあった狸沼と呼ばれる沼を、昭和初期に農業用水確保の目的で拡張してできた人造湖です。周囲を一周できる約4kmの遊歩道が整備されている他、湖畔にはキャンプ場や休暇村などの宿泊施設も備えています。
 駐車場にクルマを停めて、まずは北岸のたぬき展望台に上りました。天気が良ければ正面に富士山が見えるはずですが、この日は生憎曇り空で裾野の一部しか見ることができませんでした。湖畔に下りて反時計回りに一周します。西岸には休暇村富士の立派な宿泊施設があり、目の前の湖畔はダイヤモンド富士が撮れるフォトスポットとして有名です。更に進むと南岸はキャンプ場エリアとなり、東岸の取水口を通って北岸まで一周しました。そこから更に北に林道を1kmほど歩くと小田貫湿原がありました。朝霧高原では唯一残っている湿原だということです。標高690mにあるこの湿原は環境省の重要湿地に指定されています。

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たぬき展望台より富士山方面を望む。裾野の稜線から、晴れていたら如何に巨大な富士山が見えるかが想像できる。

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湖畔を散歩。奥の建物が休暇村富士。

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小田貫湿原。まだ花が咲くシーズンには早すぎたようだ。

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