Lexus IS 500 [Lexus IS 300]
愛車Lexus IS 300を整備に出している間の代車として、Lexus IS 500 F SPORT performanceをお借りしました。Lexus IS 500はレクサスのコンパクトFRスポーツセダンであるISシリーズの頂点に位置付けられるモデルです。海外で先行して発売されていたものが2022年8月から国内にも導入されました。IS 300との主な相違点は、V型8気筒の5000cc自然吸気エンジン、大径化されたフロント356mm/リア323mmのブレーキローター、トルセンLSD付リアディファレンシャルなどです。外観上の違いは、リアの4連エキゾーストマフラー、中央が盛り上がったエンジンフード、50mm長くなったフロントノーズなどが挙げられます。お借りした車両のボディー色は人気色のチタニウムカーバイドグレーでした。
他のISシリーズよりも50mmだけノーズが長くなったIS 500
5000ccのV8エンジンを始動させると、貧弱なIS 300のエンジン音との違いに笑みがこぼれます。百獣の王ライオンが低い声で周囲を威嚇でもするように、決して大音量ではありませんが力強くヴォン!と一声だけ吠えて目を覚まします。走り始めるとV8特有のドロドロとしたサウンドを奏でながら軽やかに加速して行きます。481 PS / 535 N・mをひねり出す強力なエンジンはアイドリング回転数付近からIS 300の最大トルク350 N・mを凌ぐ太いトルクを発生するので、発進加速の鋭さはIS 300の比ではありません。制限速度60km/hの一般道では1,300 rpm程度しか回す必要がありませんが、どんなに低回転からでもスロットルペダルを踏み込めば瞬時に背中がシートに押し付けられるほどの加速を楽しめます。IS 300の場合、一般道を巡行中にスロットルペダルを強く踏んでもターボが効き出す1,650 rpmまではトルクが薄いことと、キックダウン(加速のためのシフトダウン)を行ってしまうために一瞬のタイムラグを経てからでないと加速が始まりません。この違いが運転の気持ち良さを左右します。
フロントフードの下には巨大なV8・5000ccエンジンが押し込められている
ハの字に配置された4連マフラーがIS 500の証し
IS 500の特徴であるフード中央の膨らみの下に今となっては貴重な5000ccのNAエンジンが搭載されている
乗り心地は他のISシリーズと同様にソフトでマイルドな味付けになっています。良く動くサスペンションと適度な柔らかさを持つシートのおかげで不快な振動や突き上げはほとんどカットされ、上質なフラットライドが楽しめます。IS 300よりも80 kgほど車重が重くなったためか、IS 300と比べると一回り大きな船に乗っているようなゆったりとした揺れになっています。充分にダンピングが効いていてフワフワした感じはしないので、個人的には嫌いではない乗り味です。エンジンは大出力でありながら決して扱いにくいことはなく、スロットル開度に呼応してどこまでもリニアにパワーが盛り上がって行きます。これはターボエンジンにはない、自然吸気エンジンならではの気持ち良さでしょう。ブレーキローターの大径化の効果は顕著で、ブレーキペダルを踏んだ瞬間に初期制動が強力に立ち上がります。パドルシフトを使ったマニュアルモードでも走ってみましたが、パドル操作してから実際にギアチェンジが行われるまでのタイムラグが大きすぎて気持ち良く走れませんでした。F SPORT performanceを名乗るのであればこのあたりは改善の余地がありそうです。しかし、スロットル操作やGの変化などからドライビングモードを自動的に判別して適切なギアを選択してくれる8速ATのアダプティブ制御が優秀なので、峠道をオートマチックモードで走っても充分に気持ち良く走れます。敢えてマニュアルモードを使わない方が良いかも知れません。
オプション(¥44,000)でブレーキキャリパーをオレンジ色にできる。標準色は黒。
内装の基本デザインは全ISシリーズで共通なので特に新鮮味はありません。細かいところでは、シートなどの内装素材がウルトラスエード(いわゆるアルカンターラ。いずれも東レが開発した人工皮革のブランド名。)になっている点や、F SPORTグレード専用の移動式一眼メーターが採用されている点が私のIS 300 version Lとは違います。F SPORT専用メーターは、メーターリングの中が直径8インチの液晶パネルになっていて、目盛りや針は液晶パネルによって表示されます。ドライブモードによってメータの色やデザインが変化する他、メーターリング自体を中央から右へ移動させることで左側に別の液晶表示エリアが出現し、表示する情報量を増やすことができます。ギミック好きな人には「LFAみたいで格好良い」と好評らしいですが、個人的にはオーソドックスな2眼のタコメータとスピードメータの方が落ち着きます。ステアリングホイールの大部分は本革巻きなのですが、最下部だけはウルトラスエード巻きになっていて、ステアリングを大きく切ったときにウルトラスエードのところに触れると感触が変わるので、一瞬違和感を感じて集中力が切れてしまいます。いっそのこと全周を本革巻きで統一してくれた方が良かったと思います。また、パワーウインドウスイッチのパネルがアルミのヘアライン仕上げになっていて、F SPORTらしい若々しくフレッシュな印象になっています。個人的にはversion Lの黒い本杢目の方が好みですが。
インテリアの基本デザインはISシリーズ共通のオーソドックスなもの
一眼メータを中央に配置した状態
一眼メータを右に移動させると左側に多くの情報を表示できる
パワーウインドウスイッチのパネルはアルミのヘアライン仕上げ
この車両にはオプションでマークレビンソンのオーディオシステムが搭載されていました。ガレージに駐車した静かな状態でじっくりと試聴してみたところ、カーオーディオとしては高音質な部類だと思いますが、ホームオーディオ機材と比べると聞き劣りしてしまいます。標準のパナソニック製オーディオシステムが期待以上に高音質なので、¥265,100を払ってまでオプションを取り付ける必要はないと個人的には思いました。
メーカオプションのマークレビンソン・プレミアムサラウンドサウンドシステム
約1週間IS 500をお借りして大排気量のクルマを楽しませていただきました。意のままに加速できる余裕と爽快感、そして野太いドロドロとしたエンジンサウンドは運転していてとても気分がアガりました。また、街乗りと峠道を半々くらいずつ走ったときの燃費は6km/L台と思ったよりも良い印象でした。しかし、燃料代高騰の折、燃料計がIS 300の2倍くらいの速度でまたたく間に減って行くのを見るのは精神安定上良くありませんでした。さらに5,000ccだと自動車税が¥87,000になってしまうのも痛い出費です。経済的な面を考えると、維持費が安いIS 300に乗っておいた方が良さそうです。
5LのV8、快感でしょうねぇ
代車に乗って買い替えを検討してしまう人も居るだろうなぁ^^
by さる1号 (2024-07-01 07:46)
お嬢さんも乗るのかな?
by ニコニコファイト (2024-07-01 08:25)
さる1号さん
それが狙いだったらしく、乗り換えはいかがですかと言われました^^;
無償交換でしたら喜んでと答えておきました(^^)v
あんなに楽しい物に乗ったら免許がいくつあっても足りません(>_<)
by ZZA700 (2024-07-01 09:52)
ニコニコファイトさん
毛だらけにしてしまっては申し訳ないのでお留守番してもらいました^^
by ZZA700 (2024-07-01 09:55)
いくら頑張っても買えないなぁ・・・
by XZ_Channel (2024-07-06 10:50)
XZ_Channelさん
私も買えませんが、運転してみると欧州車と比べて抜群にコスパが良いと感じました。
何よりも、この時代に絶滅危惧種のV8・5Lエンジン搭載車を出してくれたことが貴重ですよね^^
by ZZA700 (2024-07-06 13:34)