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五島・長崎 教会巡り(1)奈留島 [五島・長崎 教会巡り]

 2018年6月30日に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産に登録されました。登録された構成資産は平戸、五島、外海、長崎、天草など、長崎県および熊本県に広く分布しています。このうち長崎県内の五島列島、外海(そとめ)地区、長崎市街などにある教会群約40ヶ所(世界遺産以外も含む)を8日間かけて見学して来ましたので、何回かのシリーズに分けて紹介して行きたいと思います。

 第1回目は五島列島にある奈留島の教会を紹介します。奈留島は、中通島、若松島、久賀島、福江島と共に五島列島を構成する5つの大きな島の一つです。五島列島には九州本土の長崎県外海地区から逃れて来た潜伏キリシタンが多く住んでいました。奈留島にも江戸時代末期から島内の江上地区や奈留地区に分かれてキリシタンたちが住んでいました。それら2つの集落には教会が建てられました。

【江上天主堂】
 江上天主堂は明治6年(1873)に禁教が解かれた後の大正7年(1918)に完成した教会です。潜伏キリシタン教会の特徴を受け継ぐ、在来工法と西洋建築が融合したカトリック教会堂の代表例として国の重要文化財および世界遺産の構成資産の一つに選ばれています。設計・施工は長崎を中心に多くの教会堂建築を手がけた鉄川与助によって行われました。建設費は当時の2万円で、40~50戸の集落の人々が生活を切り詰めながら出し合って負担したということです。構造的な特徴として、付近の湧水による湿気を避けるために高床式になっている他、軒裏には十字架を形取った通風孔が設けられています。室内は撮影禁止なので写真はありませんが、鉄川与助お得意の美しいリブ・ヴォールト天井(こうもり天井)になっています。また、柱には手書きで木目を描いて竹べらで掻き落とす「木目書き工法」が使われています。ガラス窓はステンドグラスではなく、透明のガラスに信徒たちが描いた花の模様が施されています。いずれも資金不足を補うために工夫を凝らしたものと思われます。
 ※教会の見学には事前予約が必要です。長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター(電話:095-823-7650)に問い合わせて下さい。

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軒裏の通風孔と手書きの花柄ガラス

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【奈留教会】
 奈留地区にも古くから潜伏キリシタンが住んでいましたが、現在の教会堂は昭和36年(1961)に建てられた比較的新しい物です。小高い丘の上に真っ白な建物が聳えています。正面には五島の教会では一般的な椿の花を模ったステンドグラスが見られます。教会堂の左脇にはルルドが作られています。

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奈留教会のルルド

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