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ブレーキパッド交換 [ZZ-R1100]

 先日ユーザー車検を受けるためにブレーキ周りの点検をしていた時に、フロントパッドの厚さが交換の目安となる1mmに近づいていることに気付きました。そこでブレーキパッドを前後とも新しい物に交換しておくことにしました。今までは前後ともカワサキ純正(TOKICO製)のブレーキパッドを使用していましたが、全部をいっぺんに取り換えると結構なお値段になってしまいます。悩んだ挙句、初めて社外品を使ってみることにしました。使用するパッドは定番の赤パッド(株式会社デイトナ)を選びました。価格で選ぶ部品ではないとは思うのですが、赤パッドは世間で一定の評価を得ていますし、お値段は純正品の半額で済みますので、気に入らなければ純正に戻すつもりで試してみることにしました。フロント用(品番79828)は2セット、リア用(品番79825)は1セット必要です。紙面の都合で今回はフロントパッドの交換作業のみを紹介します。

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 フロントのブレーキパッド交換はとても簡単です。点検時と同じようにキャリパのパッドスプリング(板ばね状のカバー)を外せば、キャリパを降ろさなくてもパッドを交換することができます。ただし、パッドスプリングを留めている2本のねじは通常のドライバではタイヤと干渉して回すことができません。軸が短いスタビードライバやラチェットハンドルを使用して外します。

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丸印の2本のねじを外すとパッドを交換できるが、タイヤと干渉して普通のドライバが入らない

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ラチェットハンドルに6.35mm四角→六角変換アダプタを介してドライバビットを取り付けた

パッドスプリングを外すと、2枚のパッドを貫通しているパッドピンが見えてきます。パッドピンには抜け止めのクリップ(βピン)が刺さっていますので、まずはそれを抜きます。ところがβピンはキャリパの外側の壁のすぐ内側にあり、目視では見ることができません。そこで、手探りでβピンの位置を確認し、尖った物の先端をβピンの輪に通して引き抜きます。私はドライバセットに入っている先端の尖った千枚通しのような道具を使って抜いています。βピンが抜ければパッドピンをスライドさせて抜くことができます。

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細い棒状の物を使ってβピンを抜く

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パッドピンをキャリパーから引き抜く


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外したβピンやパッドピンは汚れているのでパーツクリーナーや金属磨きできれいにする

パッドピンが抜けると2枚のブレーキパッドを取り外せるようになります。しかし、古いパッドを外す前にキャリパーピストンを押し戻しておくことが必要です。なぜならば、新しいブレーキパッドは摩耗した古い物よりも厚いので、古いパッドが収まっていたスペースにそのままでは入らないからです。ウォーターポンプ・プライヤなどを使って、古いパッドをゆっくりと押し戻すとピストンが戻って行きますので、数mm押し戻して新しいパッドが入るスペースを確保します。

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ウォーターポンプ・プライヤなどを使ってピストンを押し戻しておくことを忘れずに

あとは古いパッドを引き抜いて、新しいパッドを挿入して、パッドピンとβピン、そしてパッドスプリングを元に戻せば片側が終了です。取り外した古いパッドの厚みを測定したところ1.8mmでした。まだ限界には達していませんでしたが、早めに交換しておけば安心できます。

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新しいフロントパッド(左)の厚みは5mmなのに対して、古いパッド(右)は1.8mmまで摩耗していた

 ZZ-R1100のフロントブレーキはダブルディスクなので、右側が終わったら左側も同じ作業をする必要があります。左側もキャリパを外さずにサッサと終わらせる予定でした。しかしここでアクシデントが。パッドスプリングを固定している2本のねじのうち上側の一本が固着していてプラスねじの頭をナメそうになってしまいました。このままではねじをナメることは必至なので、仕方なくキャリパを外すことにしました。それにしても、なぜこの場所にプラスねじを使うのか不思議でなりません。前述のように、通常の長さのプラスドライバは使えないのですから、六角穴付きボルトにしておいてくれればL型レンチで回すことができますし、少々固着していても強いトルクをかけて回すことができるので、ねじをナメてしまうような事故も起こらないと思うのです。

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丸印のねじが強く固着していて外すことができなかった

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仕方なく2本のキャリパマウントボルトを抜いてブレーキキャリパをブレーキディスクから外した

キャリパはフロントフォークに固定している2本のボルトを抜くことで外すことができます。キャリパが外れればタイヤに邪魔されることなくパッドスプリングを留めているねじを外せるはずです。ところが、ねじの固着が激しく、プラスドライバではどうやっても外すことができません。そんな時に便利なのが「ネジザウルス」(バイスザウルスPZ-64)です。バイスの先端に入っている縦溝がねじの頭を掴んで離さないので、錆びついたねじでも、ナメてしまったねじでも簡単に外すことができます。

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ネジザウルスは大発明だと思う。困った時の強い味方。

パッドスプリングが外れればあとは右のキャリパと同じ手順でパッドを交換します。パッドを交換したらキャリパをフロントフォークに戻して、2本のキャリパマウントボルトをトルクレンチを使用して規定の34 N-mで締め付けます。これでブレーキパッドの交換は終了です。パッドを交換した直後はピストンの遊びが取れていませんので、ブレーキレバーを握ってもスカスカしてブレーキが効きません。遊びがなくなって当たりが出るまでブレーキレバーを何回かゆっくりと深くまで握っておくことを忘れないで下さい。間違ってもすぐに走り出さないようにして下さい(これ重要)。リアのパッド交換も基本的にはフロントと同じです。ただし車体の下側からしかパッドにアクセスできないためキャリパの中が全く見えません。リアは最初からキャリパを外して作業した方が良いでしょう。なお、リアはパッドピンが2本あるのと、パッドを押さえているパッドスプリングが板ばねではなく針金状になっているところがフロントとは異なります。

 デイトナの赤パッドの印象は、正直言ってまだ良くわかりませんが、フロントに関しては握り始めから良く効くようになりました。ただ、これはパッドの違いと言うよりは、同時に交換したブレーキフルードに関係している可能性もあります。とりあえず現時点では純正品に対して遜色はなさそうです。雨天時の効きと、寿命が気になるところですが、答えが出るまでにはまだまだ長い時間が必要となりそうです。リアに関しては慣れの問題だと思いますが、純正品のフィーリングの方が好みのような気がします。

 ねじ固着の苦い経験から、パッドスプリングを固定しているねじを六角穴付きボルトに交換することにしました。注文したねじは日産ネジ株式会社の「フランジボタンキャップ(ステンレス)M4×6mm」です。これならドライバが使えなくてもL型レンチで脱着できますし、固着していても強いトルクをかけて回すことができます。同じ型のキャリパを使用している車種のオーナーさんにはお薦めのアイテムです。

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ねじを交換することでL型レンチで楽々脱着可能になった

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