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スピーカー・スパイクを導入 [audio]

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 我が家のリスニングルームの床はパインの無垢材を使用しているために微妙なうねりがあり、平面性があまり良くありません。そのためスピーカースタンドの据わりが悪く、応急対策として隙間に家具用の小さなゴムの楔(くさび)を入れてガタが出ないようにしていました。しかし、もっと根本的な対策を打つ必要があると考え、スピーカー・スパイクを導入してみることにしました。
 スピーカー・スパイクと言うのはスピーカー(あるいはスピーカースタンド)が床と接触する面に円錐状の足を付け、床との間を面ではなく点で接触するようにするための部品です。面で接触させている場合、接触する面同士が完全な平面でない限り少なからずガタが生じます。しかし、3つの「点」で接触させればガタはなくなります。デコボコの地面でもカメラの三脚が立てられるのと同じ理屈です。スピーカー・スパイクのもう一つの利点は、スピーカーと床の間の振動の伝達特性を変えられることにあります。高い周波数の振動を伝えにくくしたり、床との共振を低減させたりする効果が期待できます。
 今回試したのはDAYTON AUDIOと言う米国でオーディオアクセサリーやパーツを扱うブランドのDSS6-BKというモデルです。真鍮製のスパイクとスパイク受けがセットになったものです。スピーカーへの固定にM6のスタッドボルト(雄ねじを切った丸棒)を使用する構造が決め手となりました。今回スパイクを取り付けるスピーカーは日本ビクター製のSX-V1と言うモデルで、このスピーカーの専用スタンドの底にはM6のタップが3つ切ってあるのです。従って、スタンドを加工することなくスパイクを取り付けることができ、気に入らなければ完全に元に戻せるのです。

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ただし、付属のスタッドボルトでは短すぎるため、長さ75mmのM6スタッドボルトを別途用意しました。SX-V1のスピーカースタンドはスピーカーエンクロージャーの底に突き出た3本の真鍮の足を3本の木製の支柱で受け、支柱の下端に円盤状のウエイトを付けて床に接するようになっています。ウエイトを支柱に固定しているボルトがM6なので、それを抜いて代わりにスタッドボルトを半分ほどねじ込み、他端にスピーカー・スパイクを取り付ける算段です。支柱とスパイクの双方にできるだけ深くスタッドボルトをねじ込みたかったため、長めのボルトを準備しました。

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ウエイトを取り付けるボルトを抜き、代わりにスタッドボルトとナットでウエイトを固定する

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突き出たスタッドボルトにスピーカー・スパイクを取り付け、ロックナットで固定する

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 上の写真のように床から宙に浮いた状態になりますが、不安定感はありません。むしろガタがなくなってメカニカルアースがきちんと取れた感じがします。早速試聴してみると、音を出してすぐに絶大な効果が感じられました。まず、シンバルやトライアングルなど高音の楽器の定位が驚くほど良くなり、どの方向で鳴っているかが非常に明確になりました。以前は楽器の位置を±1°の誤差でしか言い当てられなかったところを、±0.5°の誤差で言い当てられるようになった感じです。あるいは、わずかにボケていた画像に隅々までフォーカスが合った、という表現もできるでしょうか。更に、音の響きが良くなると共に低音が締まって聞こえるようになりました。また、音像が前後方向にも広がり、楽器とボーカルの前後関係がよりはっきりしてきました。全体的に混然となっていた音が一つ一つにほぐれて聞こえるようになった印象です。スパイクの3点支持によりガタがなくなり高音の位相関係が正確になったこと、床とのアイソレーションにより左右のスピーカー振動の干渉が低減したこと、床との共振が減りスピーカーが独立に振動できるようになったことなどが良い結果を生んでいるのではないかと考えられます。音を聴くまでは、変化がわからないくらい些細な効果しか得られないだろうと思っていましたが、もっと早くスパイクを導入しておけば良かったと後悔するくらい劇的に音質が良くなりました。今まで聴いて来た音源を全部このセッティングで聴き直したいと思うほどの改善です。これだからオーディオはやめられません。スピーカー・スパイクはコストパフォーマンスが極めて高いチューニング方法なので、お手持ちのオーディオセットをワンランクアップさせたいとお考えの方には試してみることを強くお勧めします。

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