AF微調整 [その他]
Aマウント用レンズをコンパクトなEマウント・ミラーレス機で使用するためにはマウントアダプタが必要になります。先日入手したEマウント・ミラーレスカメラα6500(ILCE-6500)では、AF駆動用のモータを内蔵したレンズ(レンズの型名にSSMまたはSAMが付いているモデル)に対してはマウントアダプタLA-EA5が使用でき、その他のレンズを含むすべてのAマウントレンズに対してはLA-EA4が使用できます。
現行のマウントアダプタにはLA-EA4(右)とLA-EA5(左)がある
LA-EA5を使用した場合にはカメラ本体のAF機能を使うことになり、したがって、像面位相差AFセンサを用いた高速かつ広範囲のAFや、被写体が笑顔になったら自動的に撮影を行うスマイルシャッターなどの最新機能を享受できるメリットがあります。ただし、前述のようにAF駆動用のモータを内蔵したレンズに限られ、その他のレンズではAFが使えず、マニュアルフォーカスになります。一方、LA-EA4を使用した場合には、AF対応のすべてのAマウントレンズでAFが使えますが、マウントアダプタに内蔵の位相差AFセンサを使うことになるので、カメラ本体の最新AF機能を使うことができません。どちらも帯に短し襷に長しで、私は両方のマウントアダプタをレンズによって使い分けて対応しています。これらの情報はソニーのWEBページに文章で記述されているのですが、例外も多く、熟読しないと全体像を理解することができません。せめて次のような表にまとめてくれていたらわかりやすいと思うのですが。
使用するAF機構 | メリット | デメリット | |
LA-EA4 |
マウントアダプタに
内蔵のもの
|
すべてのAF対応Aマウントレンズに使用可 | カメラ内蔵の最新AF機能の恩恵を受けられない |
LA-EA5 |
カメラ本体に
内蔵のもの
|
カメラ内蔵の最新AF機能(の一部)が使用可 | SSM/SAMレンズ以外はMFになる |
上記のような理由で、私の一番のお気に入りレンズ35mmF1.4G(SAL35F14G)をα6500に付けてAFレンズとして使うためにはLA-EA4を介して取り付ける必要があります。しかしここで問題が発生しました。何枚か試写してみると、どうもシャキッとしない画になってしまうのです。それはピントが合っていないことが原因でした。LA-EA5を使用してカメラ本体のAF機構を使えば、カメラ製造時にきちんと調整されたAF性能が発揮されるのですが、LA-EA4内蔵のAF機構を使う場合、出荷時にはLA-EA4単体でしかAFの調整ができていませんので、個々のカメラと組み合わせたときにAFの誤差が出てしまうのです。このような事態に対応するために、カメラ側に「AF微調整」という機能を備えています。今回、この機能を利用して、LA-EA4を介してα6500に35mmF1.4Gレンズを取り付けた場合のフォーカスずれの調整を行いました。
まず、どちら方向にどのくらいフォーカスがずれているのかを確認します。適当な距離に置いた物差しの目盛りを、三脚に固定したカメラで撮影します。下の写真はAFで10の目盛りにフォーカスを合わせて撮影し、等倍に切り出したものですが、14の目盛り付近にフォーカスが合ってしまっています。つまり、かなりの後ピン状態になっています。
調整前の状態。AFで10の目盛りにピントを合わせて撮影した。
次に「AF微調整」機能でフォーカスのオフセット値を「+10」に設定して撮影すると、さらに後ピンになって16の目盛りかそれ以上の遠方にフォーカスが合うようになってしまいました。
AF微調整機能でオフセット値を+10に設定。さらに後ピンになった。
反対にオフセット値を「-10」に設定して撮影すると、今度は8の目盛り付近にフォーカスが合うようになり、前ピン状態になりました。
AF微調整機能でオフセット値を-10に設定。今度は前ピン状態になった。
そこでオフセット値を「-8」にすると、少し戻し過ぎでジャストフォーカスは11の目盛り付近のやや後ピンとなりました。
AF微調整機能でオフセット値を-8に設定。惜しくもやや後ピン。
オフセット値を「-9」にしたところ、やっと10の目盛りにフォーカスが合うようになりました。一度設定してしまえば、あとは同じレンズを同じマウントアダプタを介して取り付けた場合には自動的にオフセット値を読み出して設定してくれますので、フォーカスずれのことは気にせずに撮影することができます。これで35Gもα6500で使用できるようになりました。
AF微調整機能でオフセット値を-9に設定してやっとジャスピンになった
やはりマウントが変わると同一メーカー製品であっても容易に
マッチングさせることは難しいのですねぇ。( ̄-  ̄;) ンー
slowは相も変わらずAマウントレンズは旧αボディ群でのみ使
いますので、最新のAFとは縁遠い状態です。( ̄∇ ̄;)
by slowhanded (2020-12-21 20:07)
slowさん
像面位相差AFやコントラストAFならばレンズやマウントの個体差の影響を受けないのですが、LA-EA4のような外付けのAFセンサを使う場合、どうしてもマウントの加工精度やレンズやカメラ本体の個体差の影響が出てしまうようです。
最新のAFはかなり進歩していて、画面全域に配置された425点のフォーカス・スポットを選択できたり、ファストハイブリッドAFによってAマウント機よりもAFが速くなっていたりします。SSM/SAMレンズ限定とは言え、それらをAマウントレンズで使える恩恵は大きいですね。
by ZZA700 (2020-12-22 10:43)