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お薦めの高音質CD [audio]

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 ひと口に「高音質」と言っても色々な定義があると思います。周波数帯域やダイナミックレンジが広いというのも一つの指標でしょう。しかし鑑賞の対象が音楽である以上、聴いていて楽しくなければなりません。従ってここでは、
 ・音場再現に優れた録音であること
 ・楽器の音や歌声にリアリティがあること
 ・楽曲が優れていること
 ・演奏や歌唱が優れていること
を総合的に兼ね備え、システムのチェック音源にも使える良質なCDを紹介しようと思います。


【The Hunter / Jennifer Warnes】
1992年に発表されたこの作品は、オーディオマニアの間ではあまりにも有名で、高級オーディオ店やオーディオ評論家の方々の試聴用ディスクとして愛用されて来ました。私が持っているのは2008年にリマスタリングされた「24K GOLD SPECIAL EDITION」です。通常のCDは反射膜にアルミニウムを蒸着していますが、このディスクはより反射率が高く経年劣化が少ない純金を蒸着しています(反射率が高すぎてCDの規格を外れているのか、「Compact Disc」のロゴがどこにも付いていません)。Jennifer Warnesは1982年の映画「愛と青春の旅立ち」の主題歌をJoe Cockerとデュエットしていたアメリカのポップスシンガーなので、誰もが彼女の歌声を聞いたことがあるでしょう。このアルバムは90年代の流行を反映して打ち込みを多用しており、音数がとても多く、あらゆる方向から色々な音が降り注いで来ます。音質面では打楽器の音の立ち上がりが鋭く、キレの良いリズムパートを楽しめるのが特徴です。また、地響きのような分厚い重低音が1曲目から全編にわたり、これでもかと押し寄せてきます。ミキシングにより人工的に作られた音場ですが、違和感なく没入することができます。楽曲もアメリカンポップス、AOR、カントリー、民族音楽など様々な要素を取り入れることでバラエティーに富んだものになっていて、何度聴いても楽しい作品です。録音は巨匠Phil RamoneのアシスタントだったElliot Scheiner(グラミー賞を8回受賞)が担当しています。因みにPhil RamoneはFrank Sinatra、Paul Simon、Bob Dylan、Billy Joelらの録音、プロデュースを担当した名レコーディングエンジニア兼プロデューサで、個人的にはBilly Joelの一連の作品で印象深い方です。残念ながら2013年に故人となられています。一方このディスクを録音したElliot ScheinerはTOTO、Chaka Khan、Eric Clapton、Eaglesらの録音、プロデュースを担当されたレコーディングエンジニア兼プロデューサで、最近は5.1chサラウンドのミキシングにも情熱を注がれているようです。
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【Taking a Chance on Love / Jane Monheit】
Jane Monheitは1977年ニューヨーク生まれのジャズシンガーで、1999年にマンハッタン音楽学校を卒業後、2000年にメジャーデビューを果たしています。本CDは2004年にリリースされた彼女の4枚目のアルバムになります。タイトル曲の「Taking a Chance on Love」をはじめとする往年のミュージカル映画で使われたスタンダードナンバーを中心に構成されています。彼女の歌声はジャズシンガーには珍しい澄んだ伸びやかな美声で、正確な音程と相まって、どんな曲でも安心して心地良く聴いていられます。彼女を特徴づけるのはスキャットの上手さではないかと思います。奔放に跳ね回るように歌っていますが、絶対音感の持ち主だと確信させる正確な音程とリズム感が故に、即興的な雑味を一切感じません。音質面では目の前に広がるバンドとシンガーのリアルな音像が秀逸です。音のアタックと余韻が美しく、リスニングルームが響きの良いスタジオに変身します。透明感のある空気までをも表現できるのは、我が敬愛するレコーディングエンジニア、Al Schmittの技量によるところが大きいでしょう。デジタルプロセッシングやミキシングに頼らず、考え抜かれたマイクロフォンのセッティングによってナチュラルな音場感を作り出している職人芸は、前述のElliot Scheinerとは真逆な手法と言えるでしょう。
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【The Look of Love / Diana Krall】
もはや大御所の貫禄すら感じさせるDiana Krallは1964年にカナダで生まれたジャズピアニスト/ボーカリストです。アメリカのバークリー音楽大学を卒業後、ロサンゼルスやニューヨークで経験を積み、1993年にデビューを果たしました。ブリティッシュロックのミュージシャンElvis Costelloの3人目の妻としても有名です。美女ボーカルの草分けとも言われる彼女のルックスとは大きなギャップのある力強いピアノプレイと太くハスキーな姉御的歌声が特徴です。彼女のほとんどの録音には前述のAl Schmittが関わっていますので、どのCDを選んでも音質的にはハズレを引くことはありません。その中でも特にお薦めするのは2001年にリリースされたこの「The Look of Love」です。スタンダードナンバーを集めた選曲が素晴らしく、Diana Krallの魅力とAl Schmittの録音技術が遺憾なく発揮されている作品だと思います。
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他にも高音質のCDをお探しの方はこちらもご参照下さい。
 ・秋の夜長はジャズボーカルを


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コメント 4

slowhanded

slowもその昔買いましたねぇ、高音質CD.^^
たしか“TOTO”と“Rainbow”のベスト盤でした。
どちらもマスターレコードの音質がそれほど良くなかったためか
あまり効果は感じられませんでしたが、市販された普通盤よりは
良かったですけどね。d(^-^)!
by slowhanded (2018-05-01 21:45) 

ZZA700

slowさん
グレードの違う樹脂材料を使ったり、反射膜の材料を変えたりして高音質CDと謳っている物を良く見かけますね。ディスク自体の違いによる音質差は微々たるものですから、高音質かどうかというのはレコーディング時あるいはマスター製作時にほとんど決まってしまうのだと思います。
by ZZA700 (2018-05-02 02:41) 

ナビパ

一時期はオーディオの世界にはまって音質にこだわったこともありますが今はノートPCやスマホの音質で満足しちゃっています。なので軽自動車のカーオーディオが高音質に。。。(笑)
できれば自分のオーディオルームが欲しいです。
by ナビパ (2018-05-02 17:35) 

ZZA700

ナビパさん
オーディオもカメラも沼にはまりますね^^;
移動できるオーディオルームも素敵じゃないですか!
by ZZA700 (2018-05-03 01:14) 

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