オペアンプ聴き比べ [audio]
現在製作中のA級オーディオアンプのプリアンプ部分に用いるオペアンプを決めるために、NJM4580DD(新日本無線)、LME49720(ナショナルセミコンダクタ)、OPA2604(バーブラウン)の3種類のオーディオ用オペアンプを聴き比べてみました。電源電圧は±15V、電圧増幅率は約3倍に設定しました。パワー段には製作中のA級アンプを使っています。試聴にはCDP-777ESJ(ソニー製CDプレーヤ)とSX-V1(ビクター製スピーカ)を使用しました。今回は微妙な音質の差を聴き分けるために試聴方法を少々工夫しています。1台のアンプでオペアンプを交換しながら評価をすると、オペアンプを交換している間に前の音を忘れてしまい評価の正確さに欠けます。そこで市販のプリメインアンプ(ソニー製TA-F333ES)をリファレンスとして使用し、それとの音質差をチェックして行くことにしました。つまり、リファレンスと評価対象に同じ入力信号を与え、それぞれのアンプで増幅された音をスイッチで交互に切り替えながら評価対象の音質をチェックして行きます。この聴き比べを、評価するオペアンプの数だけ繰り返してオペアンプの相対評価を行います。こうすることで記憶の不確かさや思い込みを極力排除できると考えました。素早く2つのアンプを切り替えられるように秘密兵器を併せて製作しました。2種類のアンプと2種類のスピーカをトグルスイッチで自由な組み合わせに接続できるようにしたマトリクス・セレクタです。接続切り替え中のショートを防ぐためにスイッチにはOFFポジション付きの3ステート・トグルスイッチを使用しています。今回はスピーカの切り替えはせず、SX-V1のみを用いました。
表1に評価結果をまとめました。点数は10点満点で採点しています。当然のことながら、この評価は主観的かつ限定的な条件で実施されたものなので、好みや音源によっても結果は異なるであろうことにご留意下さい。以下はテストしたオペアンプの感想です。NJM4580DDは低音と高音がやや厚くなり、強いて言えば解像感と定位感にやや欠ける線の太い音に聞こえました。しかし値段を考えると無難にまとまっており、コストパフォーマンスには優れていると思います。LME49720は解像感が高く、グレードの高い音がしました。特徴を探せば、やや元気で明るい感じと言えるでしょう。超低歪み率が売りなのですが、残念ながら私にはそれは聴き分けられませんでした。OPA2604は最初おとなしい感じに聞こえました。音場も狭めな印象を受けました。しかし聞き続けているうちに、それは味付けの少ない素直な周波数特性と、解像感が高く、定位に優れているためではないかと思えてきました。今回製作しているアンプのコンセプトに最も適しているのはOPA2604だと感じましたので、これをプリアンプとして用いることに決めました。
(コンデンサ聴き比べにつづく)
オペアンプ(NJM4580DD)
もう20年も使っているCDP-777ESJ(1992年製)。少々硬めのCDらしい音がお気に入り。この頃の機器は非常に真面目に作られているので、最近の機器よりも遥かに音が良いと思う。
1995年製のSX-V1。外装はマホガニーの無垢材、バッフル板は真鍮ダイキャスト製。底面にある3本の真鍮製ピンで接地する構造になっている。楽器のような響きと定位に優れているところがお気に入り。「音楽」を聴くためのスピーカという感じがする。
今回の評価のために製作した2アンプ×2スピーカ・マトリクス・セレクタ
表1 オペアンプ聴き比べ 結果
メーカー | 型名 | ひずみ率 | 定格電圧 | 購入先 | 価格 | コメント | 点数 |
新日本無線 | NJM4580DD | 0.0005% | 18V | 秋月 | \50 | 低音、高音がやや強調される 解像度にやや欠ける | 8 |
ナショナルセミコンダクタ | LME49720 | 0.00003% | 17V | 秋月 | \270 | やや元気な感じ 解像度良し | 9 |
バーブラウン | OPA2604 | 0.0003% | 24 V | 秋月 | \300 | 味付けのないフラットな感じ 解像度、定位良し | 10 |
777をお使いですか。自分は555を使っています。
いまだに不具合一つなく現役。
昔のものは丈夫ですねー
by さる1号 (2012-01-12 21:04)
あまり音には関心がありませんが(スミマセン・・)スピーカーの
外装がマホガニーの無垢材とのことで・・・
ものすごくこだわりがあるんですね(^^♪
by メタボ暦4年 (2012-01-12 22:45)
さる1号さん
555をお使いでしたか。555も銅めっきシャーシ、サファイア軸受け、制振鋼板など、今では考えられないような贅沢な部品を使っていますよね。どうぞ末永く大切にお使い下さい。
by ZZA700 (2012-01-13 01:02)
メタボ暦4年さん
昔はこだわりのある製品が多かったですね。このスピーカ、専用のスタンドもマホガニーの無垢材で、メカ的グラウンドの取り方が良く工夫されているんですよ。正面のパネルが分厚い真鍮でできています。おかげで位相特性がすごく良いですね。こんな物をリーズナブルな値段で売るメーカーはもうないでしょうね。
by ZZA700 (2012-01-13 01:15)
年末の記事を拝読して、相当昔に買って今でも使っているアンプやスピーカーのことがとても気になり始めてしまいました。今はネットでいろいろな情報が取れる時代になり、型番を入れると、たくさんのことが出てきますね。当時は情報源は新製品のみのことを書いたオーディオ雑誌しかなかったですが、今は往時を懐古しつつお気に入りの製品のことをたくさんの人が書いていますから、楽しいものです。たまにはLPプレーヤーにも火を入れてやらないと可哀想な気になってきました。
by COLE (2012-01-14 15:18)
COLEさん
最近はネット上で色々な情報が手に入って便利ですよね。
私も修理のための情報を得たり、昔のカタログを見たりと活用させてもらってます。
レコードプレーヤーも流行っているようですね。
アナログの良さも見直されていますからね。
先日、久しぶりにオープンリールテープを再生してみたら
ヒスノイズこそ多いものの、帯域の広い伸び伸びとした音に惚れ直しました。
by ZZA700 (2012-01-14 18:29)